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COLUMNコラム

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2021.11.01

働き方改革や女性活躍促進の最大の敵は?

働き方改革

働き方改革や女性活躍を推進するとき、職場でこのような言葉が出ていないでしょうか。

  • 仕事より育児を優先する男性は仕事へのやる気が低い。
  • 子育て中の女性社員には責任ある仕事は任せられない。
  • 育児は女性がするもの。男性には育児休業はいらない。取りたいという人はうちの会社にはいない。
  • 女性のほうが、気が利くから接客や雑務が得意。
  • 管理職になりたい女性はほんの一部。
  • いつでも残業や休日出勤する社員の方が会社にとって有り難い。

このような発言が多く出るなら、もしかしたら社員や経営層の「アンコンシャス・バイアス」が邪魔をして、改革が進みにくくなっているかもしれません。

この記事では、働き方改革や女性の活躍促進に取り組んでいるのに、うまく進まない大きな原因になる「アンコンシャス・バイアス」、女性の活躍推進のヒントを解説します。

この記事のポイント

  • 経営者層が持ちやすい女性活躍の思い込みと偏見
  • 無意識な偏見は誰もが持っていると認めることが大切な理由
  • アンコンシャス・バイアスを減らす5つの意識ポイント

「無意識の思い込みと偏見」は働き方改革の敵

アンコンシャス・バイアスは、「無意識の思い込み、偏見」のことです。

誰かと話すときや接するときに、これまでに経験したことや、見聞きしたことに照らし合わせて「この人は○○だからこうだろう」「ふつう○○だからこうだろう」というように、あらゆるものを「自分なりに解釈する」という脳の機能によって引き起こされるものです。

アンコンシャス・バイアスは誰にでもあるもので、あることそのものが悪いわけではありません。問題なのは、気づかないうちに、自分の解釈で決めつけたり、押しつけたりしてしまうことなのです。

アンコンシャス・バイアスがきっかけとなり、知らず知らずのうちに、相手を傷つけたり、相手を苦しめたりしていることがあります。
その結果、相手の可能性を潰すことになったり、相手の傷つき方によっては「ハラスメント」と受け取られる可能性もあるのです。

育児中の女性は転勤したくない?

中小企業の経営者(主に30代後半~50代)にダイバーシティ研修をした時の話です。

育児中の女性社員が以前から望んでいた業務につくために、転居を伴う転勤が条件のポストに応募するか? というテーマで話し合って貰いました。

男性の全員が「育児中の女性社員は応募しないだろう」という結論でした。育児中の女性だから子供や夫の世話、家事もあるから転勤は無理だろうというのが理由でした。

一方参加した女性からは、「したい仕事であれば応募する」「育児については環境を整えれば可能」「せっかくの機会だからチャレンジしたい」という意見が出ました。

「応募しない」という結論を出した男性たちは、女性たちの意見を聞いて「えっ?そうなの?」「そんな風に思っているんだ!」とビックリしていました。

「育児中の女性は引っ越しを伴う仕事はしたくないだろう」「女性の優先順位は育児が一番高いはず」「夫の都合があるから無理なのでは・・・」とすっかり思いこんでいたという感想が次々に出ました。

「もしかしたら、うちの女性社員の活躍を阻んでいたかもしれない」と言った方もいました。

研修の場があったからこそ、男性経営者の方は自分たちの思い込みに気が付いてくれましたが、このようなことって、どの会社でも大なり小なりおきていそうではありませんか?

放っておくと、社員のストレスが増えたり、モチベーション低下や関係悪化などが生じてしまいます。

アンコンシャス・バイアスは自分では気づかない

自分が偏見を持っているとは気づきにくいのが、アンコンシャス・バイアスの厄介なところで、良かれと思ってすることさえあります。

先ほどの例のように、経営者や上司が、育児中の女性だからバリバリ働きたくないだろうという思い込みで、仕事のアサインをしないと判断してしまえば、やる気のある社員のチャンスが奪われてしまいます。

バリバリ働いていた女性社員が育休復帰した、育児短時間勤務中だからと両立しやすい仕事を与えられた・・・。会社は配慮したつもりだったが、当の社員は働きがいを感じなくなり、結局退職してしまい、会社はせっかくやる気がある社員を失ってしまった。こんなことになれば、残念ですよね。

子どもの看病のために休暇を取得した男性社員に、上司が「子どものことは妻に任せたほうが病気で心細い子どもにとってはいいのでは?」と言った。上司は子どものために良かれと思って言ったつもりでも、当の男性社員はどんな気持ちだったでしょうか?

このようなことにならないように、まずは自分の中に無意識の偏見が存在することを認めることが大切です。

「女性は家庭や育児を優先したいと思っているに違いない」「育児は母親の方がいい」のように、私たちはそれぞれ沢山の「○○が当たり前だ・普通だ」を持っているんですよね。

でも自分はそう思っていても相手は違うかもしれません

○ヒアリングシートなどを使い面談の機会をつくるのがオススメ

育児休業復帰後、どう働きたいかは人によって違います。
復帰前に面談の機会を持ち、丁寧に本人の事情や希望を聴きましょう。ヒアリングシートを作成してそれに沿って聴くと、担当者によって違うということが少なくなり、良いと思います。
厚生労働省のサイトの復帰支援面談シートも参考になります。

参考)厚生労働省サイトの復帰支援面談シート
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000105401.xls

また、会社の様々な制度の周知を丁寧にすること、利用者の声を社内報などで紹介すること、特に子や孫を持つ男性社員にも積極的に利用を勧めることを続けると、少し古い価値観を持った人に気づいてもらうきっかけになります。

女性活躍推進や両立支援に積極的に取り組んでいる経営者は、それぞれの人によって全く異なる状況を丁寧に聞いて、どうやったら仕事が続けられるかについて、本人とよく話し合っています。

そのような丁寧な対応をするので、社員のほうも感謝の気持ちが強く会社のために働こう、役に立とうとしてくれるとも聞きます。

アンコンシャス・バイアスを減らすコツは?

年代の差、性差、国籍など自分と違う属性の人と話したりする時、「えっ、そう考えるんだ」と驚いたり新しい視点に気づくことがありませんか?

そんな機会を積極的に持ったり、何かを決める時に多様な背景を持つ人たちから意見を聞いたりしてみてください。

少しずつでもいいので

  • 自分が抱いている偏見に気づく
  • これまで社会や社内で常識とされてきたことを無条件に受け入れるのではなく疑問を抱く
  • 言動を客観的に検証する、改善する
  • 相手の背景や事情を想像する
  • 対話する

などを積み重ねていくことです。

このような小さなことを継続していくことで、社内の女性活躍や、今後課題になってくる男性の育休取得などが進みやすくなると思います。

この記事のまとめ

  • 相手に思い込みを押し付けることが一番問題。丁寧に対話をしよう
  • 面談やヒアリングシートなど、希望を聞く機会を設けることが重要
  • アンコンシャス・バイアスを減らすには、日々の行動の積み重ねが大切
小松 麻利子

小松 麻利子

特定社会保険労務士、アンガーマネジメントコンサルタント

担当地域:近畿を中心に全国

中小企業・自治体職員の働き方改革やハラスメント防止対策を中心にコンサルティングを実施。社員一人一人が強みを活かしてやりがいを持って働けるよう丁寧な支援をしています。